親が子に注ぐ愛情は無条件の愛。
そんなふうに思ってきましたし、今もそうだと思います。
頭ではそう思っているのに、どうしても娘を拒絶してしまう自分がいる・・・そう気が付いてからは苦しい日々で今も葛藤中です。
拒絶とまではいかなくとも、親子なのにどうも合わない、わが子なのにどうしても好きになれない、理解できないと思ったことはあるのではないでしょうか。
私の実体験とともに、現在も奮闘中ですが、少しでも娘に歩み寄れるような対策を紹介できればと思います。
もくじ
きょうだい構成
お姉ちゃんの性格傾向
きょうだいの構成、出生順位で性格の傾向が表れると唱える専門家の方も多くいらっしゃるので、娘について少しばかり紹介します。
性格が合わないと思っている娘は典型的な第一子の長女タイプ。
小学2年生の8歳で実際、2歳下の弟、5歳下の妹、8歳下の弟のお姉ちゃんです。
一番上のお姉ちゃんということで必然的にリーダーっぽく、偉そうになってしまうのかもしれません。
それを認識していたつもりですが、想像をはるかに超えて、娘は仕切りたがりで自分に主導権がないと気が済まないといった性格のようになってしまいました。
娘と私の性格の一番の問題

お姉ちゃんだからと言って、どこのご家庭もお世話が好きでリーダーっぽくなるわけではもちろんありません。
お友達の三姉妹のお姉ちゃんは、わが道をいくタイプで全く妹たちと関わろうとしなかったり、別のご家庭のお姉ちゃんは、
「弟を優先に考えてあげてばかりで自分の意思があまりないように感じる・・・」
と嘆くお母さんにも出会ったことがあります。
子どもの性格については、少なからずどのお母さんも悩むことがあるのではないかと思います。
でも、私の娘に限っては私の性格と正反対でお互いに納得できない、理解できない存在となってしまい、どんどん溝が深まっていってしまいました。
問題なのは、娘の性格が私と正反対なだけでなく、私の苦手なタイプの性格であるということでした。
娘の性格
リーダー気質・仕切りたがり

先にも言った通り、娘は典型的なリーダータイプで学校でも「班長」「実行委員」などを率先して引き受けています。
行事の時だけでなく授業参観の際も先生が「机を後ろにさげてー」と言えば娘は即座に立ち上がり
「○○君もうちょっとうしろー!!○○さん早くしてー!!」
と指揮をとります。
ひっそりと流れに身をまかせたい私からしてみれば、恥ずかしくて仕方がありませんでした。
「なんであんなに偉そうなの?先生が言うからなにも言わなくてもいいのに・・・」と思ってしまいました。
きっと私もリーダータイプであれば、あるいはもっと器の大きい母親であれば娘のことを立派だと思うことができたでしょう。
でも、私はそういうひとが苦手だったのです。
無意識に「え・・やだ・・」と思っていました。
ポジティブすぎる性格、おちゃらけ
また、娘は笑顔を絶やさない一面も持っています。
これに関しては私も娘の長所だと思いますし、笑顔を見られることはもちろん嬉しいです。
しかし、度が過ぎるのです・・・
暗い雰囲気がとにかく嫌いで、お友達同士でケンカになってしまったり、引っ越しのためのお別れ会などでしんみりムードになっても笑わそうとしてしまうのです。
私が怒ってもそうです。
「なんでそんなことするの?わかってくれた?」と怒っていても
「うん、でね、今日面白いことがあったんだよー」と全く反省せず、怒っている私に笑い話をして楽しいムードに持っていこうとするのです。
理論的には理解できます。
考えようによってはとてもいい性格かもしれません。
でも、そうじゃないでしょ・・・反省してるの?話聞いてたの?
私の怒りを煽るだけです。
こんなこともありました。
保育園の終了式に、私が泣いているのをみて娘はなんと・・・お尻フリフリダンスをしはじめたのです。
本当に絶句しました。
他のお母さんたちが思い出話に花を咲かせている間に、思いっきり手をひっぱって家に帰りました。
涙もすっかりひいてしまっていました。
「泣いてたから、やってみたの」という娘に優しいとは到底思えず、下品で本当に嫌だという感情しか起こらなかったことを覚えています。
私は下品なことが大嫌いで、昔からそういったことをする男の子たちを冷めてみていたタイプでした。
なので、なおさらショック。
恥ずかしくて仕方ありませんでした。
勉強の取り組み
性格だけでなく、勉強についてもかなり悩まされました。
私の性格も問題があることは承知ですが、昔から先生や親に褒められたいという気持ちが非常に強く、そのために勉強は頑張っていましたし、宿題をすることは当たり前のこと。
「やりなさい」と言われる前に全て終わらせるような可愛らしくない性格でした。
そんな私の娘は、「やりなさい」といってもやらない、挙句の果てには
「宿題は、ない!」「先生の具合が悪くてない」
など嘘までついて宿題をやらない。
その嘘が発覚し、かなり叱ったところ
「なんで宿題やらなきゃいけないの?」
と私には到底理解できない質問をしてきました。
呆れて何も言えませんでした。
「宿題をしないで、なんで恥ずかしくないのだろう」
「なんで先生に起こられても平気でいられるんだろう」
それを娘に問うても逆になんでそんなに怒るの?といった態度。
娘にとっては私が娘に対して感じているのと同様に、私の考えが理解できないようでした。
反発しあう母・娘
このように私の苦手でかつ理解できない性格の娘を私はどんどん突き放していくようになりました。
下のきょうだいたちは、やや姉の影響を受け、キツイ口調になったりもしましたが比較的穏やかなタイプだったため、余計に下の子たちがかわいく思えて仕方ありませんでした。
そうなってからは、娘を避けることが顕著になっていきました。

テストを見れば10点や20点、一問目しか解いてないものもありました。
初めは教えていましたが
「できなくていい」
「なんでやらなきゃいけないの」
と言われ続け、私はテストを見ることさえやめました。
偉そうな物言いのため友達との口げんかも多かったようで、そのイライラをきょうだいに向けていて
「あっちにいって!お姉ちゃんがいなければみんな仲良くやってるの!」
と言ってはいけないことをたくさん言って娘をどんどん追い詰めていました。
その結果、娘は私の呼びかけには無視するようになり、学校での話はしなくなりました。
手をつないだり、スキンシップが大好きな面も私は苦手で、手を繋がれそうになると振り払ったり
「やめて!くっついてこないで!」
と言ってみたり冷静に考えるととてもひどいことをし続けました。

娘は、手を繋がなくなりお風呂も一緒に入らなくなり、寝るときもひとり静かに本を読んで勝手に眠るようになりました。
娘との関係を見つめなおすきっかけ
このままではだめだな、娘は愛情不足だ、どうにか変わらないと・・・と思っていた矢先のことでした。
勤務中に担任の先生から電話が掛かってきました。
娘が、お友達をケガをさせたとのことでした。しかも、実は2日連続で・・・
娘と話をしなくなっていたので、恥ずかしいことに昨日も友達をケガさせたことなど知りもしませんでした。
言い争いになったりしたわけではなく、何か気に入らないことがあっていきなり腕をひっかいたようでした。
娘は口げんかになることはそれまでもありましたが、手が出たことはありませんでした。
ショックでショックで、何度も先生や相手のお母さん、ケガをさせた友達に謝りました。
それと同時に、
「これは私のせいだ。私が娘をわかろうとしなかったせいだ。」
と悔みました。
娘に歩み寄りたい、好きになりたい

幸い大きなけがには至らなかったものの、友達に手をあげてしまったという事実は消えず私は反省を繰り返し、情けなく後悔ばかりしました。
娘は、こんな状況でもやはり、あっけらかんとしており急に好きになれたりするわけではもちろんありませんでした。
担任の先生に面談の時間を設けてもらったり、カウンセリングを受けたりして、親子だからと言って性格が似るとは限らない、全然別の人間なんだからということを知らされました。
私の中に
「自分の子なのに、なんでこんな風に?なんで理解してあげられないの?」
という気持ちが強かったことを思い知らされました。
自分の子でも全然違うこともあるし、それがその子。
全部をわかろうとしなくてもいいんだという考えになっていきました。
具体的対策
交換日記
反抗的になった娘に
「今日なにがあったの?」と聞いても
「別に」「忘れた」としか言ってくれなくしてしまったので、どうしたらいいかなと考えた結果、交換日記をすることにしました。
最初は
「なんで書かなきゃいけないの?」「書きたくない」
と言われてしまったので、娘の好きなキャラクターを用いて
「今日のできごと」
「うれしかったこと」
「いやだったこと」
「あしたすること、したいこと」
などの項目をあらかじめ吹き出しで作って、そこを埋めていくような日記を作って渡してみると、すぐに書き始めてくれました。

今まで話してくれなかったお友達とのことや、言われて傷ついたこと、休み時間の様子もわかるようになり、話を広げていくことに成功しました。
「これの何が楽しいの?」
「こんなことしてるの?」
と私には理解できないと思うことはありましたが、娘のことを知ることができることが嬉しく感じるようになりました
仕事退職・ふたりの時間
これは思い切った決断でしたが、お友達とのトラブルが頻発した翌月、私は退職しました。
転職をしながらもずっと働いていたので迷いはもちろんありましたが、また落ち着いたら働き始めればいいと思いました。
いつも、きょうだい達をつれて娘を学童に迎えに行き、家につけば慌ただしく夕飯を作り話す暇もなかった日々。
思い返せば、話したくても話せなっただろうなと思いました。
食事中も、お姉ちゃんのことは後回しで、下の子たちのかわいいおしゃべりを聞いていたほうが癒されます。
私は自分勝手でお姉ちゃんの気持ちを全く考えてあげられていませんでした。
退職後は小学校の近くまで行き、待っていると満面の笑みで駆け寄ってきてくれるようになりました。

家まで数分ですが手をつなぎ、二人きりで何気ないことをおしゃべりします。
そのたった数分ですが、二人だけの時間をとっても嬉しそうにしてくれていることに気が付きました。
物心ついたころから、お姉ちゃんだった娘。
生まれもった性格もあって、口も達者で、嘘もつくし、弟や妹たちより自分が一番!といったところは、やっぱり苦手だなぁと思うこともあるけれど、少しずつ、少しずつ娘に歩み寄れているかなぁ・・・と思います。
もうすっかり大きいような気がするけれど、たまにはハグをして赤ちゃんの頃を思い出して「だいすき、だいすき」と言ってみようと思います。
コメントを残す