ところ変われば育児も変わる?スペイン5ヶ月間の子育て体験

海外で育児というと、どんなイメージをもたれるでしょうか?

文化や言葉の壁があったり、日本と育児の方法や考え方が違っていたり、大変なことも多いのでは?と思われるかもしれません。

私は娘が生後8ヶ月からの約5ヶ月、夫の故郷スペインで暮らしていました。

今回は、私のスペインでの育児体験をご紹介します。

スペインで育児して感じたこと

ここでは私がスペインで子育てをして、日本と比べて驚いたことや感心したことなどを中心に自身のエピソードを交え紹介していきます。

また、ここに紹介するのはあくまで私の体験から感じたことです。

同じスペインでも個人や地域によって差はありますのでご理解ください。

その1、おしゃぶり使用率が高い

まず驚いたのは街で見かける多くの赤ちゃんが、おしゃぶりをしていることでした。

日本で私は、おしゃぶりをした赤ちゃんをあまり見ることがありませんでした。

当時、私の娘にもおしゃぶりは使っていませんでした。

そんなある日、娘が泣いてなかなか寝付けないことがあり、その状況を見たスペイン人の義母が私にこう言いました。

「なぜ、おしゃぶりしないの?おしゃぶりは寝つきがよくなるの。

そうしたらあなたも休めるから自分のためにもした方がいいわよ。」

私はおしゃぶり否定派ではありませんが、そこまで必要性が高いものとは感じていなかったので当初、義母のアドバイスは聞き流していました。

ところが義母があまりに何回も言うので、仕方なくおしゃぶりを購入し使うことに...。

しかし、娘は気に入らなかったのか、何度試してもおしゃぶりを口から出してしまいました。

この光景を見て義母もやっと諦めたのか、おしゃぶりのことを言ってこなくなりました。

現地の人に話を聞くと、おしゃぶりをすることで、赤ちゃんが泣き止んだり、寝つきがよくなったりするので、使っている人が多いとのことでした。

赤ちゃんの精神的安定につながるとの理由から小児科で勧められることも珍しくないそうです。

また、友人の子どもが通っている保育園でも、おしゃぶりは必ず持参するよう園から言われていたそうです。

その2、母乳育児に対する考え方

スペイン人の友人と会ったときの話です。

彼女は当時、妊娠中でした。

私が

「母乳で育てるの?」

と彼女に聞くと、

「私は1ヶ月で母乳はやめるわ。その後はミルク。それにミルクなら男性もあげられるしね!」

彼女のあまりにも割り切りのよさに

「そうだよね...」

としか返答できず...。

しかし、詳しく話を聞いてみると、彼女のこの発言にはこんな理由がありました。

スペインでは出産しても仕事を続ける女性がほとんど。

多くのスペイン人ママは、産後4ヶ月から半年くらいで仕事に復帰しているそうです。

そのため母乳は仕事復帰までの数ヶ月のみで辞める。

もしくは、始めからミルク派という人が、私の周りでもほとんどでした。

確かに仕事に復帰し保育園や親などに預けることを考えると、母乳を続けるのは難しいことなのかもしれません。

そして、私が特に驚いたのは、

「母乳は女性しかあげられないので、育児負担の面で平等でない」

という意見から、始めからミルクで育てるという人も結構いるということです。

つまりこれは、

「母乳育児をする権利も、しない権利も女性自身にある」

ということ。

日本では、母乳育児を産院や周りの家族から勧められたりし、母乳神話に苦しむママも少なくないといいます。

私にとってこの出来事は、日本とスペインの母乳育児の考え方の違い、スペイン人女性の権利意識の高さを実感したものでした。

その3、イクメンが当然?!

最近日本で日常的に耳にする「イクメン」という言葉。

ところが、スペインではそもそも「イクメン」いう概念はありません。

それは、自分たちの子どもは二人で育児するのは当然のという意識からです。

スペインではパパは育休を取り、子どもが産まれてすぐに夫婦一緒に子育てをします。

夫の友人のスペイン人パパ何人かに、

「日本では里帰り出産する人、また、産後に子どもと母親だけ実家に帰る人もいる」

と話すと、

「産まれた子どもと過ごせないなんて、ありえないよ。家族は一緒にいるべきだよ。」

と皆が口をそろえて言っていたのが印象的でした。

また、スペインでは共働きが普通なので、夫婦で家事育児を分担するのが一般的です。

実際に子どもと公園で遊んだり、保育園に送り迎えしたりするパパ姿は、圧倒的に日本より多く見られました。

しかし、それは男性でも育休が取得しやすく、勤務時間の調整がきく社会システムがあるからこそ可能なことなのかもしれません。

その4、社会全体で子どもを大切にする

これは、私がスペインで1番感心したことです。

例えば、ベビーカーでバスや電車を乗る際は、必ず誰かが手伝ってくれます。

そして、子連れに必ず席を譲ってくれます。

私の経験ではスペイン滞在中、100%でした。

こんな印象的な出来事もありました。

当時、私はよくバスを利用しており、その日は娘を抱っこ紐で抱えての移動でした。

到着したバスは満員に近かったので少し躊躇しましたが、そのバスに乗りしました。

すると乗車した私たち親子を見た女性が即座に叫びました。

「あなたの席はあるわよ!ほらこっちよ!」

その言葉で座っていた人が席を立ち、私たちは座ることができました。

日本でも席を譲ってくれることはありますが、周りの人がそれを促してくれるという経験はなく、この違いにとても驚きました。

そして何よりありがたかったのが、子どもに対する目が優しいこと。

街ですれ違う多くの人が、娘をみて微笑んでくれる。

バスや電車の中で娘が泣いていても、

「子どもは泣くものだからね~。泣くことはいいことなのよ。

自己主張ができている証拠だからね!」

と、隣の席に座るおばあちゃんがあたたかい言葉をかけてくれたりもしました。

日本では、電車やバスの中で子どもが泣いたりすると、周りの目に気まずい思いをしたことが何度もありました。

ところがスペインでは、日本にいる時のように肩身の狭い思いを感じることはありませんでした。

スペインでは

「誰の子であっても、子どもは社会みんなで育てるもの。」


そんな意識が社会全体に浸透しているように感じました。

おわりに

正直、スペインに来た当初は、日本に比べて育児用品の種類も少ないし、レストランなどでも、子供向けのサービスが充実していないし、日本のほうが便利で良かったなと思ってばかりいました。

しかし、5ヵ月間、現地で育児してみて私が強く感じたことは、

子育てしていても「ひとりじゃない」ということ。

子どもを連れて街を歩いていても、いつもそこにあったのは、あたたかい視線。

それはなんだか優しく見守られているかのようで、心地よささえ感じました。

これは日本で子育てしている時とは、明らかに違う感覚でした。

日本で子育てしていると少なからず孤独を感じるママもいると思います。

私自身も「子育ては孤独だな」と何度も思ったことがありました。

すべての子どもがあたたかく見守られる社会なら、きっと親たちも子育てがしやすくなるでしょう。

社会全体が変わるのは簡単なことではありません。

しかし、それにはひとりひとりが意識することが、まず大切な第一歩なのかもしれません。

私自身も街などで、子どもや、困っているママがいたら、声をかけていければいいなと思いました。

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