自閉症スペクトラムの子育ては時間をかけて工夫しながら楽しく

自閉スペクトラム症の診断経緯

こだわりが強い、一人でも平気、後追いもない、遊び方もちょっと変わっているかも、あれこれ気になって不安を覚えるママは案外多いはず。私の息子はミニカーを200台以上も並べて眺めるのが大好きでした。それだけでは説明がつかないような独特の行動が気になっても、よほどの発達の遅れがないと検診では見過ごされがちです。

実際、息子は一度も検診で何かを指摘されたことはなく、それほど実際の診断は難しいとも言えます。それでも私が息子に自閉スペクトラム症ではないかと疑った理由は、先に例として挙げたミニカーが典型的ですが、並べるという遊び方です。走らせる、手で持って「ぶ~ん」と声を発して動かすという遊びはしませんでした。また、言葉の発達は早いくらいでしたが、「行く」と「来る」という言葉のやり取りが理解できず、息子は帰宅すると「ただいま」ではなく「お帰り」と自分が言うといったような、ちょっと変わった言語理解と発達が私にはとても不思議でした。

幼稚園入園前には様々な不思議、変わっているなと思う遊び方や行動、会話が多く、私自身が発達障害に関する疑いを持ち、関連書籍を読み、知人の紹介から専門クリニックの受診に至りました。そこで、医師は息子の遊ぶ様子、発達検査の結果を踏まえ、自閉スペクトラム症、当時の診断名でアスペルガー症候群と診断を受けたのです。

自閉スペクトラム症って一体何?

そもそも自閉スペクトラム症というのは、以前は自閉症、広汎性発達障害、言葉の遅れを伴わずに知的遅れもないアスペルガー症候群と分けたものをまとめた診断名です。そのため、それぞれの子供の特性も幅広く、症状や障害の違いも大きいので自閉スペクトラム症と医師に診断を受けてもピンとこない親も多いことでしょう。

知的な遅れの有無、言葉の遅れの有無、これだけでもかなり大きな違いです。言葉の遅れがあっても、子供の成長により改善、解消されるケースは多く、心配で終わるという話はよくあります。知的な障害の有無は年齢が上がるにつれ明確になってきます。それ以外のこだわりの強さや社会性の発達の未熟さなどは、集団生活の中でそれらによって生活に支障をきたすのかによります。

ちなみに息子の場合、一番困ったのは共感する力が乏しいことで集団生活において、お友達の気持ちの理解ができず、自分勝手な行動をしてしまうことが多くありました。支障をきたすほどのこだわりがある、人と共感することが全くできないために集団活動が行えない場合など、本当に10人いれば10通りの特性、違いがあるので、自閉スペクトラム症のそれぞれの子供の成長、特性に合わせた子育てや関わりが大切です。こういう時は、時間をかけて、丁寧に、じっくり関わることが親には求められます。

自閉スペクトラム症は一人で抱えず、時間をかけて、みんなで子育て

早期発見、早期療育と言われる発達障害の一つである自閉スペクトラム症ですが、医師からはっきりと診断を受けていなくても、疑いがある、もしかしたらと思ったら、早目に療育センターや療育をしてくれる場所に相談をする、実際に療育プログラムを行うことは発達過程では重要です。まだ疑いだから、確定診断は受けていないからと先延ばしにしてしまうと、せっかく言葉の発達を促す、社会性を身に着ける良い時期を逃すことになります。

仮に、結果的に疑いや心配だけで終わったとしても療育を受けることでマイナスはありません。療育を受ける場所が近くにないという場合、同じ月齢や年齢の子供たちが集まるサークルやコミュニティに参加してみてはどうでしょうか。そういうものも近くで見つからない、そんな時は幼児のための音楽教室や体操やスイミングなどに出かけてみてはどうでしょうか。

こだわりが強い、一人でいることを好む子供が多いので、家庭の中だけでは学べないこと、体験できないことをいろいろな場所で、人と関わることで少しずつではあるけれど、その子供なりのペースと吸収力で学びます。自閉スペクトラム症やグレーゾーンの子供たちは、他の子供よりは吸収する力が弱いとか、のんびりしているところもありますが、それはその子供の個性なのだと理解をして、大らかな気持ちで見守りましょう。焦らず、子供のペースに合わせて子供との時間を大切に過ごしませんか。

自閉スペクトラム症の子育て、少しの工夫が成長を促します

私自身がそうでしたが、ちゃんと子育てしようと肩に力を入れて頑張り過ぎてしまいます。「あれはダメ」「これはダメ」「何度言えばいいの」、気付いたら毎日のように同じフレーズを口にしていることにハッとすることはないでしょうか。

「ダメ」と叱る前に「ダメ」と言わなくても良い環境を作りましょう。発想の転換、ちょっとした工夫が子供に、家族に穏やかな時間と空間をもたらします。自閉スペクトラム症の子供には視覚化、目で見てわかりやすい空間、環境であれば理解もしやすくなります。ママも叱らなくて済むようになるのですから一石二鳥。

例えば、おもちゃを片付けてほしいと思うなら、どこに何を入れたらいいのか、おもちゃ箱、引き出し、ケースには一つ一つ入れるべきものの絵を描いたシールを貼るというのも一つの方法です。また、手洗いやうがいも言葉で促すのではなく、洗面所にうがいの仕方が分かる絵を貼っておく、手を洗っている様子を絵にして貼るのはいかがでしょうか。絵を描くのが苦手、ちょうど良いシールなんてないならば、実物をスマホで写真を撮ってプリントアウトして使う手もあります。

アイデア次第で簡単に今日からすぐに実践できることは案外あるものです。そして家族で一緒に遊ぶ、手洗いうがいも一緒にみんなで実践すれば共感する力の発達も促されます。やらせようではなく、一緒にやる、それも楽しみながら。すると不思議に家の中の空気も穏やかになります。

自閉スペクトラム症の特性を認めてあげましょう

乳幼児期から児童期にかけ、その特性を良くないものと子供自身が感じて育ってしまうと、子供は何事にも自信を失う、自己否定の傾向が強まります。学校生活でも学業以外でも友人関係等で難しい時期を迎えると、自傷行為、不登校、いじめられるといった深刻な状況に陥りやすくなります。二次障害と言われる精神疾患を発症するケースもあります。

そういうことを少しでも防ぐために必要なのは、自分はこれでいいのだ、という自己肯定感を持てるようにすることです。その特性は悪いものではなく、苦手なことはある、でも得意なことや他の子供より優れているところを子供は必ず持っています。出来ること、得意なことにもっと目を向けて、認めることが子供の自己肯定感を強めます。自己肯定感が難しい時期を乗り越える大きな力となります。

自閉スペクトラム症、みんな違っていい

誰にでも個性も特性もあり、似ているところはあっても全く同じ人なんていません。自閉スペクトラム症の子供はその特性が周りより変わっていると思われがちですが、それは悪いことばかりではありません。発達においてはバランスが悪い子供ではあるけれど、そのバランスの悪さも見方を変えたら個性であり、長所になります。

子育ては長い道のり。今日だけ、この瞬間だけの子供の姿に一喜一憂してしまうこともありますが、そんな時は深呼吸をして、その特性の見方を変えてみてはいかがでしょうか。

最後に息子の幼稚園時代のエピソードを紹介します。
園庭の砂を掌に握り、太陽の光にかざし、指の間からこぼれ落ちるのを見る行動を繰り返していました。息子は「あのね、砂をこうして光に当てるとキラキラして、とってもきれいなんだ」と笑顔いっぱいで話してくれたのです。

あなたにもきっと素敵な発見があるはずです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)