1/5000の確率。胎児に起こる「先天性食道閉鎖症」とは?

私は29歳のときに、第一子となる男の子を出産しました。

出産から数時間後、医師から告げられたのは息子が「先天性食道閉鎖症」という病気をもって産まれてきたということだったのです。

順調だった妊娠生活

妊娠中の検診結果は毎回順調。安定期には旅行に出掛けたりもしました。

違和感といえば、お腹の張りを感じることがよくあったのですが、少し休めば治まっていたので特に気にしていませんでした。

あとは

「他の人よりお腹が出てくるのが早い?」

「お腹が大きいほうかも?」

と感じていたのですが、妊婦健診で何も指摘されなかったので心配なく過ごしていたのです。

その後、里帰り出産のために実家近くの個人院に転院。

その病院でも、胎児についての異常は何も指摘されませんでした。

ただ、検診の度に「羊水が多い」と言われるようになったのです。

不安になり、「羊水過多」について調べてみましたが、「体質的な問題であることが多い」ということだったので「広いお部屋で良かったね!」とお腹の中の息子にのん気に語りかけていました。

しかし、いよいよ予定日が近づいてくると、私の腹囲は100cmを超え異様な大きさになっていたのです。

仰向けになんて苦しくて全くなれず……。

周囲の人から「双子ですか?」と聞かれるぐらいに。

医師に相談もしましたが、「お腹の大きさは個人差があること」と、このときも問題にされませんでした。

予定日超過5日目……まさかの緊急搬送

ついに予定日を迎えましたが、いっこうに産まれてくる気配はありませんでした。

しかし、予定日超過5日目の診察で思いがけない事態になったのです。

いつも通り、内診とNST(ノンストレステスト)を終えエコーの時間。医師が突然「羊水が数日で増えすぎている!」と言うのです。

すぐに赤ちゃんの心拍を調べると、それまで正常だった心拍数が、一瞬ガクッと下がりました。

しかし、下がったのはほんの一瞬だけであとは元通り……。

今思えば、これは息子からの「大きい病院でなければ産まれられない」というサインだったのかもしれません。

医師がこのサインを見逃さずにいてくれたおかげで、急遽大学病院へ転院の準備が進められ、救急車で搬送されることになりました。

大学病院に到着後、すぐにエコーと内診での診察を受けました。

しかし、このときもハッキリした問題は見つからなかったのです。

そして、まるで息子が産まれてくる場所を選んだかのように、その日の夜中に破水。

翌日の夕方には陣痛が始まりました。 

息子が無事に産まれたのは夜が明けた頃。

少しだけ見ることができた息子は紫色で、産声もあげません。

「お願い、泣いて」と必死で祈っていた時間は、とても長く感じられました。

すると、か細い声で息子が泣き始めたのです。

安心したのもつかの間、その泣き声はまるで溺れているようで、ゆっくり見ることもなく、処置台に運ばれてしまいました。

医師に囲まれた息子は、喉の奥を管で何度も吸引されているようでした 。

医師からの告知

その後容態が落ち着いた息子は、少しだけ私と、廊下で待つ旦那さん、私の両親に見せられたきり、どこかへ連れて行かれてしまったのです。

「この病院ではカンガルーケアは無いのかな?」とぼんやり考えていたのを覚えています。

尋ねると「羊水を飲んでしまっているので少し処置をします」というお話で、旦那さんも私の両親も「元気な男の子だった」と言うのですっかり安心していました。

しかし数時間後

「赤ちゃんのことで医師からお話があります」

と夫婦揃って別室に呼び出されることになったのです。

待っていたのは私を担当した産科の医師と、小児外科の医師。

そこで私は、赤ちゃんが「先天性食道閉鎖症」という病気をもって産まれてきており、今すぐ手術が必要だということを告げられたのです。

「先天性食道閉鎖症」とは?

先天性食道閉鎖症」とは、生まれつき赤ちゃんの食道と胃が繋がっておらず、哺乳ができない状態である病気です。

この病気に遺伝性は無く、原因は不明。

その確率は1/3000~5000となっています。

一般的にA型~E型まで5つの病型に分類され、日本では多くがC型に分類されます。

C型は、上部食道が途切れており、下部食道は胃から気管に繋がっていることが特徴です。

息子の場合もこのC型でした。

当然、このままでは母乳やミルクを飲むことができないので、すぐに手術が必要となります。

手術の方法は、下部食道の気管と繋がっている箇所を剥がして、途切れている上部食道と繋げるという方法です。

しかし「先天性食道閉鎖症」の赤ちゃんは、低出生体重児で産まれてくることが多く、そういった場合は、胃に直接ミルクを通せるように「胃ろう」を造ってあげて、ある程度成長してからの手術となります。

また、妊婦検診時に「羊水過多」や「エコーで胎児の胃が見えない」といった所見から、出産前に診断されることもしばしばあります。

息子の場合は産まれてからの発見となりましたが、幸い息子が十分に成長して産まれてきてくれ、体格も3,212gと立派だったので、すぐ手術に向かうことができました。

NICUに通う日々

NICU(新生児集中治療室)を知っていますか?

ここでは産まれつき病気をもっていたり、低出生体重児として産まれたりしてきた赤ちゃんたちが、24時間体制で治療を受けています。

産まれたての、繊細な新生児を扱う場ですから、面会制限も厳しいのが一般的です。

息子が産まれた病院では両親以外の面会は禁じられており、面会の度に手洗いと消毒、専用のガウンやマスクの装着も義務付けられていました。

「先天性食道閉鎖症」の術後の赤ちゃんは、せっかく縫い合わせた食道が外れてしまわないように、深い鎮静で1週間程眠ったままになっています。

頑張っている息子のために私ができることは、搾乳した母乳を毎日NICUに届けることでした。

幸い息子は日を追うごとに回復し、手術から2週間ほど経つころには、授乳や沐浴もできるようになっていました。

「先天性食道閉鎖症」その後……予後は?

「先天性食道閉鎖症」は合併症が重篤でない限り、極めて予後の良い病気とされています。

ただ、特に乳児期や幼児期の食事には少し注意が必要です。術後の食道は嚥下機能が他の人よりも低く、食べ物が通過しにくいので詰まりやすくなっています。

そのため、離乳食の大きさやあげる早さ、誤嚥などには十分注意が必要です。

また、胃からの逆流が起こりやすく、吐き戻しが多い子もいます。

そういった場合には、授乳後かかさずゲップを出させたり、寝かせるときは頭が上になるように、ベッドに軽く傾斜をつけてあげたりすることが良いとされています。

体重が増えづらい子もいるので、定期的に通院し医師と相談しながら食事を工夫してあげることが大切です。

まとめ

今、お腹の中の赤ちゃんや、産まれてきた赤ちゃんが「先天性食道閉鎖症」と診断されて不安なママもいるでしょう。

私も息子の病気が発覚してすぐの頃は、この病気について調べまわり、悲嘆に暮れ、とても不安を感じました。

しかし、そんな息子も今では1歳半。

食事はまだ9ヶ月~1歳児ようの離乳食で、みじん切りのものを慎重にあげていますが、身長、体重とも平均で無事に成長しています。

悩みや心配は尽きませんが、それはどのお子さんも同じこと。

この情報が少しでも、悩んでいるママのお役にたちますようにと心から願っています。

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ABOUTこの記事をかいた人

「先天性食道閉鎖症」「気管軟化症」「先天性食道狭窄症」をもつ息子のママです。 大変なこともありますが楽しく元気に生活してます。 同じ病気をもつご家族の参考になればとブログもやっています!(↓WEB SITEを参照) https://ameblo.jp/candy5ss1p